俳句の作り方 白詰草の俳句

 生も死もしろつめ草の首飾り  鳥居真里子とりいまりこ

せいもしも しろつめくさの くびかざり

しろつめ草が春の季語。

 

 しろつめ草について・・・。

牧草地によく繁茂している。

「江戸時代にオランダから長崎に輸入されたガラス器を衝撃から守るため

乾燥したクローバー(うまごやし)を緩衝材として使用した。

よってクローバー(うまごやし)全体を指す名称として

『詰草』という日本語が生まれた。」

(Wikipediaより)

 

 

 句意を申し上げます。

棺に横たわる死者の首にしろつめ草の首飾りがかけられています。

作者はそれが妙に生々しく感じられたのです。

死に対する生。

生はしろつめ草であり、死は棺の中の死者です。

 ところが掲句は死生を対比しているようでそうではありません。

死者はほんの少し前までは生きていたのであり、

しろつめ草の首飾りもやがては枯れて死に至ります。

棺の中では死生が一体となっているのです。

ですから、「生も死も」という措辞が生まれたのです。

生も死もしろつめ草の首飾り

 

 

 趣を変えてクローバーやうまごやしの俳句4句をご紹介します。

クローバーに座すスカートの完き円  橋詰沙尋はしずめさひろ(男性)

クローバーにざす スカートの まったきえん

クローバーに寝転び雲に運ばるる  すずき巴里すずきぱり(女性)

クローバーに ねころびくもに はこばるる

密談の少女ら四葉のクローバー  和田幸司わだこうじ

みつだんの しょうじょらよつばの クローバー

ラケットを二つ重ねてうまごやし  加藤耕子かとうこうこ

ラケットを ふたつかさねて うまごやし

 

 いかがでしたでしょうか?

いずれも春の歓びにあふれた俳句です。

 

 

 

俳句の作り方 白詰草の俳句” に対して1件のコメントがあります。

  1. 大谷元秀 より:

    最初掲句を読んだとき、私も死生を詠んだ句かと思いました。
    伊庭さんの句意の説明でそうなのかとストンと胸に落ちました。有難う御座います。
    私の俳句に対する洞察力もまだまだなと妙に納得しました。

    私的には、クローバーに寝転び雲に運ばれる が一番気に入った句です。

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